ムギの原産地はいずれも中近東で、その栽培が始まった地域は、チグリス・ユーフラテス川の流域です。特に両河川の上流部にあたる現在の東トルコからシリア・イラク付近とされています。 コメに関しては、インディカ種は分かりませんが、ジャポ二カ種については、最近、中国の長江(揚子江)下流域とする説が有力視されています。
ところでムギもコメも、種子植物ですから、その発育には水がなければなりません。 したがって、いずれの耕地にも、理想的には潅概施設の存在が望ましいのです。
比較的少ない水分で育つムギは、畑地で良いのですが、多くの水を必要とするコメには、水を湿潤地帯のコメにしたがって、それぞれの特性からすれば、ムギは乾燥に強く比較的寒冷な地域でも栽培が可能ですが、逆にコメはとくに湿潤かつ温暖な場所を好みます。 このためコメすなわちイネの栽培地は、東南アジアを中心としたモンスーン・アジア地帯にほぼ限定されますが、ムギは西アジアや中央アジア、ヨーロッパなどの乾燥がちな地域が対象となって調節する水田という装置が望ましいことになります。
そして、ムギは牧畜、コメは漁携と、それぞれ密接な関係がありますが、これらのことについては、のちにくわしく述べたいと思います。 なお、この組み合わせを概観する場合には、これからの話に深く関係するので、ここでは、参照して下さい。

寒冷・乾燥気候に強いムギの文化は、ユーラシアの西北部からョ−ロッパに、そして温暖・湿潤気候に適したコメの文化は、ユーラシアの東南部に、それぞれ広がるという特徴を読み取ることができます。 ムギとコメは、非常に強い対照的な分布を示しており、気候・風土の在り方が、これに深く関係していることが明瞭でもちろん、実際には複合的に栽培が行われており、日本でもすでに弥生初期に、ムギが栽培されていたことが確ムギとコメは、また食べ方も大きく異なります。
コメは脱穀が簡単ですから、粒のまま粒食として食べることができます。 私たちは、だいたいコメを炊き干し法という調理になります。
またョ−ロッパでも、スペイン東部のバレンシア地方、イタリア北部のボー川流域のほか、局地的にコメが栽培されています。 ただ、あくまでも食事の体系という観点からは、そうした傾向がみられるということです。
ちなみに、ムギ用の畑地の潅概は、水路を通しておくだけで良く、比較的開墾が容易です。

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